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タイムマシーンの入口

  • 小林孝男
  • 2017年10月27日
  • 読了時間: 2分

 団地の造成、道路の拡張工事などの都市開発により、私たちの生活は便利になり豊かになりました。 それは否定できません。しかし、開発過程で大切な歴史や文化が犠牲になっていることも事 実です。私が特に感じているのは、町歩きの際に時々目にする石碑群です。それらが昔から その場にあったものであれば心躍るのですが、多くは開発の邪魔になる石碑を、影響のない場 所に移転させたものです。一つ一つの石碑は、専門家の目からは、たとえそれがどこに置かれ ていようと貴重な研究対象となり、中には歴史的に、あるいは文化的に大きな価値を持つものも あるのでしょう。

 しかし、私の見方はちょっと違います。オリジナルの場所に置かれている石碑ならば、何百年か前 の人も、「この場」で「この石碑」を目にしているのです。そして今、私はその同じ場所で同じ 石碑を目にしている。つまり、「この石碑」が、空想の世界の中で現在の私を過去の人々とつない でくれるのです。そんな時空を超えた繋がりを、体で感じることを可能にしてくれるのです。かなり 遠くから移転された石碑は、なかなかその力を発揮してくれません。想像力の感度の問題かもしれ ませんが、少なくとも私にはその力を引き出すのは難しいのです。オリジナルの場所にたたずむ石碑は、 私にとっては正にタイムマシーンの入口なのです。


 
 
 

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