top of page

伝承の力

  • 小林孝男
  • 2018年5月11日
  • 読了時間: 2分

 「こんなちっぽけな石碑が、290年も前に設置された村名の起源を指し示す石だなんて」。その石碑を見た時の正直な感想です。高さ40センチ弱、幅20センチ程度でしょうか。いえ、もっと小さいのかもしれません。何も知らなければ、誰も振り向かないような、存在感がまったくない石碑です。それなのに今日に至るまで、「これが根白石の村名の起源を言い伝える二代目の石碑なんですよ」と伝承されてきています。この伝承の力はすごいと思うのです。もっと巨大な岩石であったり、人の目を引く美しい形状の石碑だったりするならば、「これこそは」云々と、親が子に、子が孫に、代々大切に言い伝えたとしても、不思議ではないのですが・・・。

 昔の人たちのこの伝承の力は、一体何なのでしょう。こう言っては何ですが、国道457号線の旧道沿いに、町興しのため20年前に設置した村名起源の三代目の 大きな 岩は、半世紀も経たない内に、「なんだいこの岩、邪魔だごと~。誰がこんなとこに置いたんだべ」などと言われていそうな気がします。今の時代は、「私」が伝えなくとも、必要な情報は、誰かが、仕事として、どこかで、データ化し、保存するシステムです。ですから一人ひとりが関わる必要がないのです。その様なシステムの中では、庶民による伝承の力は、急激に退化していって当然でしょう。

 しかし、土地の文化や伝統は、データによって伝承できるものではありません。その土地に生まれ、育ち、生活している生身の人間が、その土地の空気や水や土の香りの中で、受け継ぎ、さらに次代に伝えていくしか伝承の方法はないのです。伝承の力の退化は、とても残念ですが土地の文化・伝統の衰退に直結することになるのでしょう。 そう言えば、お正月のおせち料理を作る文化も、お盆の迎え火・送り火の風習も、我が家ではかなり前に廃れてしまいました。


 
 
 

コメント


© 2023 by Conferences Website. Proudly created with Wix.com

bottom of page